ーついに新作『Tokyo 7』が完成しましたが、配信曲をまとめた『Here we go'round the disc』に続いて、今回も〈東京〉がテーマになってますね。


「〈東京のバンド〉と言われ続け、〈東京〉と考えるのも嫌になり(笑)、しかし、結局しょうがねえよな、っていうのが頭をもたげてきて。あと、個人的には曽我部(恵一)君と一緒にアルバム作ったのも関係しているかもしれない」


ーというと?


「曽我部くんと一緒にアルバムを作っている時は、下北沢周辺を拠点にして日々動き回ってるわけだよ、東京を。そうしていると、東京にはいろんな拠点があったことを思い出すわけだ。渋谷とか高円寺、吉祥寺とかね。東京ってデカい街のなかで、そういった拠点に世代を越えて人々が集まる。そういうのが懐かしくもあり、その多様性が面白いなと。だから、〈東京をテーマに配信の曲をやってみようか〉というふうに始まった。配信の曲6曲吐き出しちゃったら、その後、東京にこだわる必要があんまりなくなってきたんだけど、その余韻みたいなものが、新作にもちょっとあったほうがいいなと思って」


ー『Tokyo 7』に配信曲を入れる予定はなかったんですか?


「何曲かリミックスして入れてもいいと思ったんだけど、配信して、さらに限定のCDも出してるんで、次にまたこれをリミックスするのも難儀だぞと。よし、じゃあ思い切りよく(配信曲は)切ってしまおう!ということになった」


ーそのぶん、労働量は増えるわけですよね。


「増えた。増えたし、曲のセレクトも難しくなったんで、きっと、このアルバムは難産になるなと思ったんだ。だから、とりあえず最初に『Tokyo 7』という仮のタイトルだけ決めてしまった。4月のライヴが終わったあたりからレコーディングに入っていくわけだけど、結局、仮のつもりが最後まで、このタイトルが残ってしまった(笑)」


ー道理で。珍しくサッパリしたタイトルですもんね。


「いつも長いからね(笑)。今回のタイトルは記号というか、イコンだね」


ー『Here we go'round the disc』と『Tokyo 7』に関連性を持たせようという腹づもりはありました? というのも、『Here we go'round the disc』の最後の曲「Come Up」の歌詞に登場する〈タブラ・ラサ〉という言葉が、『Tokyo 7』のオープニング曲のタイトルになっていますよね。


「あの曲は最初、副題になっている〈When rock was young〉のほうがタイトルだったんだ。でも、せっかくだから歌詞にある〈タブラ・ラサ〉をタイトルにしようということになって」


ーどちらもかしぶちさんの曲ですよね。白井さんが作詞作曲した「むすんでひらいて手を打とう」の歌詞にある〈アマリリス〉は、『Here we go'round the disc』収録曲の「恋はアマリリス」を連想させるし。


「『Tokyo 7』というタイトルが出た段階で、みんなどこかで意識してたんだろうね。でも、『Here we go'round the disc』が6曲で『Tokyo 7』が13曲だから、二枚の曲数を足すとアナログ時代だったらアルバム2枚分。どちらも同じ時期に作った曲だということを考えたら、まだ2枚組のアルバムを作れる力があるんだ、って思った。出来上がりを聴いて思ったのは、『Here we go'round the disc』と『Tokyo 7』の関係って、『マニア・マニエラ』と『青空百景』の関係に似てるんだよ」


ーそうなんですか! 初めて聴いた時、アルバムの感触が『青空百景』に似てると思いました。実験的で複雑なんだけど、カラッとしててポップだし。新作に対する方向性についてはメンバー間で何か話し合ったりしました?


「音楽に関しては、あまりないと思う。ただ、俺は『シーシック・セイラーズ登場!』を作ったりしてヘトヘトだったんで(笑)。ちょっと最初のうち呆然としていた。『シーシック・セイラーズ』の熱気とライダーズの熱気は別モノだからね。とにかく、ライダーズは去年の12月から毎月ライヴがあって、さらにレコーディングに突入したわけで、みんなが顔を合わせていた時間が非常に長いわけだ。そのへんの状況も『マニア・マニエラ』と『青空百景』を作っていた時期と近い。だから、せっかく顔合わせているんだから、明るいものにしようよ、っていう気分はあったかな」


ーバンド密度が高まっていた?


「そうそう、『マニア・マニエラ』の頃もそうだったけど。あの頃はファナティック(熱狂的)というか、コンピュータを使って、取り憑かれたみたいにいろんな実験をしてたからね。今回はそれほどでもないけど、やっぱりテクノロジーに寄り添った実験もいろいろやってるし」


ーとはいえ、ここ数年のライダーズのアルバムにあった、〈音の迷宮感〉みたいなものは余り感じさせませんよね。気持ち良く、スッキリ聴けるのが印象的でした。


「なんだろうね。やっぱ〈3分の曲作ろうぜ〉ってのが大きかったのかな。俺はそんなに賛成はしなかったんだけど(笑)」


ー凝りまくってるけど、あまり耳にもたれないというか。


「今まで、いろいろ注ぎ込み過ぎて、もたれることが多かったので(笑)。それに(自分で書いた)歌詞も短かったんだ。長いのもあるけども、短く簡潔に深いことを歌詞にしよう、という意識は強かったと思う。それは『シーシック・セイラーズ』で物語を作ってしまった、その反動かもしれない」
















曽我部 恵一

鈴木慶一の17年ぶりのソロ・アルバム 『ヘイト船長とラヴ航海士』 をプロデュース。 http://www.sokabekeiichi.com/


















Here we go'round the disc

2009年4月発売 MOONRIDERS RECORDS












青空百景

1995年発売  ポニーキャニオン









マニア・マニエラ

1995年発売  ポニーキャニオン








シーシック・セイラーズ登場!

2009年発売 ソニー・ミュージックダイレクト